変人日記

変人日記

物書き志望のヅカオタの雑記帳

緊縛一回 1,000円

午後1時30分、そこには異様な雰囲気が漂っていた。

 

デザインフェスタvol.40

学生時代から興味のあったこのイベントに、今年初めて足を運んだ。

4階、暗いエリア

間接照明やキャンドルなどを販売する、淡い色のブースが多い中、鉄パイプと臙脂の布で作られた小さなブースの前に、10人ほどのギャラリーがスマホやカメラを構えて待機していた。

オタクっぽい男性から若いカップルまで人種は様々。

私は、その人の多さに興味をそそられ、立ち止まった。

 

 

緊縛1回 1,000円

 

ブース内には、制服姿の女の子

女の子と言っても、私と同じくらいか少し上だろうか、おさげ髪を揺らしながら、笑顔で撮影OKと書かれたスケッチブックを掲げている。

それと、執事姿の眼鏡の女性

彼女がこのブースの主であろう、クールな顔つきで頭上の鉄パイプから垂れ下がった色とりどりのロープに手をかけている。

 

ブースの正面左上に張られた紙には、13時30分~緊縛ショーの文字が見える。

運よく、本日一回目の緊縛ショーに巡り合えたようだった。

ギャラリーが増え、私の身動きがとれなくなったところで、執事姿の彼女がベージュのロープで少女の腕をさっと後ろで固定した。

そのまま胸の上に一巻き。胸の下にも一巻き。彼女の胸が強調されていく。

ショーが始まってから、主役は完全におさげの少女だった。

縛っている側の彼女は、黒子のように気配を消しながら黙々と縛り上げる。

腕から胸、そして頭上の鉄パイプの輪っかへと通し、固定していく。

ブースの中と外は明らかに一線を画していた。

それを後ろでギャラリー整備をしている明るい声のゴスロリ少女が、時折現実に引き戻す。

おさげの少女は縛られながら、恍惚のような恥辱のようなもどかしい表情を浮かべ、その世界観を全身で表現している。

沢山のカメラを向けられ、さながらスポットライトを浴びた女優のように見えた。

 

前方で携帯やカメラを構える人々の液晶画面にうつし出されるおさげの少女たち。

なんと異様な光景だろうか。

途端に、私の頭の中には、ドラマ  ストロベリーナイトの第一話が浮かぶ。

殺されるかどうかのスリル、見ちゃいけないのに見てしまう好奇心が酷似していた。

ロープはするすると少女の体を縛り上げ、片足が宙に固定される。

スカートのプリーツは乱れ、白い太ももが姿を現す。

執事姿の彼女は慣れた手つきで、華麗にもう片方の足も吊り上げ、少女は海老反りのような形で完全に宙に浮かんだ。

スカートのプリーツを翻らせながら、少女をくるくる回す執事姿の彼女。

圧巻だった。

緊縛という言葉で思い浮かぶのは、先日話題になった宮沢経産相でお馴染み、SMバーだったが、そんな世俗的なものではなくて、もっと高尚なエロティシズムを感じた。

 

なんと言っても、縛っている執事姿の彼女が非常に魅力的。

ギャラリーが隣のブースにはみ出しているのを見て、少女を縛りつつも、口に輪っかを加えたまま無言でギャラリーを制したのに心臓を射抜かれた女性も多いのでは。

女子校だったらファンクラブが出来そうなタイプ。

もちろん、私もずきゅんとやられて「1,000円出そうかな…」と本気で悩むことに。

 

帰宅後パンフで確認したところ、出展者は蠱惑魔術師さん。

 

もう一か所、緊縛ショーをやっていたブースがあったのだが、そちらは緊縛を笑いに昇華させているようで、私が通りかかったときは太った男性が真っ赤なロープで縛り上げられており、非常に盛り上がっていた。

 

デザフェス内を歩き回っていると、どうしても同じような商品を販売しているブースがいくつもあって、差別化が難しそうに見えた。

しかし、緊縛はどちらも切り口が違っている分、ターゲットも自然と分かれているのでうまく共存しているように感じた。

 

来年、もしまた出展されていたら今度こそは縛ってもらいたい。