変人日記

変人日記

物書き志望のヅカオタの雑記帳

動物を飼うということ

昨日、うちで飼っていたうさぎが亡くなりました


8月で8歳になるはずだった、メスのネザーランドドワーフです。


4月頃から段々食べる量が減ってきて、ここ2、3日は小松菜とドライパパイヤを少し口にするだけで、ケージの隅から全く動きませんでした。

一昨日、妹に抱かれていた姿はまるでぬいぐるみのようでゾッとしたのを覚えています。

心配になって昨日の朝、母と妹が動物病院に連れていきました。レントゲンを撮ってもらうと、何も食べてない割にお腹がものすごく膨らんでいるとのことでした。

栄養剤を注射してもらい、薬をもらって帰ってきました。

ぐったりと、ケージの入り口に頭を乗せ、妹が必死でお腹をさすっていました。
声は聞こえないけれど、はぁはぁと苦しげな息づかいが聞こえるようでした。

そしてそのまま、

そのまま、
ピクピクと痙攣して、微かに一鳴きして亡くなりました。


動かないあの子を妹はずっと撫で続け、
「ママ、ママ、動かない」
と言いました。


私は母に動物病院に電話させました。

母はあの子を抱き続ける妹の耳に受話器をあて、説明するように言いました。
電話を持つ母の手も、撫で続ける妹の手も震えていました。


そうして、そのまま二人は行ったばかりの動物病院にもう一度あの子を連れていきました。

私はあの子をくるむための毛布の用意しかできませんでした。
弟に至っては立ち尽くすだけでした。



帰ってくるまでどうしよう。


そう思いながら、私が携帯で自然と検索したのは「ペット 庭 お墓」でした。

我ながらなんて残酷なのだろう。
まだわからないのにもうお墓の心配をしているなんて。


10分ほどすると母からの着信。
気付くのが遅れて出れなかったので折り返すも留守電。
弟にかかってきてるかも、と部屋を出ると、二階からすすり泣く声が聞こえてきました。

ああ、ダメだったんだ。


ああ、ダメだったんだ、と。


私の目からも涙が流れました。



数分後帰ってきた妹は、行きと同じようにあの子を抱いていて、「ダメだったの?」と聞くと、小さく頷きました。


病院では、元々弱っていたんだろうと説明されたそうです。
うさぎの寿命は7年と聞きました。
そう考えれば、あの子はよく頑張ってくれたのだと思います。

最後に抱いたあの子はとても軽くなっていて、大きな丸い目は濁ってきていました。
首のすわっていない赤ちゃんみたいに、支えていないと首が後ろに傾いてしまいます。

いつも引っかかれるのが怖くて触れなかった顎の下も、昨日は黙って触らせてくれました。

閉じてあげようにも瞼は閉まらず、そのうち段々と死後硬直が始まりました。

とても早かったです。
一時間くらいでしょうか。
妹の腕の中で、前肢、後ろ足をピンとはったまま固まってしまいました。

撫でた感じはいつもと変わらないのに、濁った目と突っ張った足は、剥製でした。

ああ、これが死なんだと、初めて実感しました。


こんなことを言ったら変に思われるかもしれませんが、私はあの子を食べたいと思いました。
パッと。死にゆくあの子を見てパッとそう思いました。


昨日はGW中、唯一家族全員が揃ってる日でした。
きっと、あの子が今日を選んだんだと母が言いました。
弟が妹が母が、あんなにも隠さずに泣く姿は初めて見ました。


すすり泣く声しかしない家の中、みんなでお別れをして、専用のお寺さんに連れていきました。

家を出るとき、あの子の濁って目に糸屑のようなものがついていたのを見て、また涙が出ました。
もう、まばたきをすることも顔を洗うこともできないんだ、と。


バスケットの中、妹のブランケットに包まれてあの子は焼かれていきました。

収骨で骨だけになった姿を見て、スカスカだと思いました。

残った骨はどれも細くて小さくて、正直、本当にあの子のものかは私はわかりません。
それくらい変わり果てた姿になってしまいました。

茶筒ほどの小さな骨壺に入れられ、お経をあげてもらい、家に帰ってきました。


不思議なことにお腹は全く空かず、ただただ泣きすぎて頭が痛く20時に寝ました。


今日、朝起きて会社に行かなきゃいけないのに、お昼にみんなと笑ってご飯を食べることなんて出来なくて午前休をとりました。

社会人としてどうかと思いましたが、仕事になる気がしませんでした。

午後から会社に行きましたが、信じられないくらい声が出ず、顔も真っ白で心配をかけてしまいました。
上司にだけ話をすると、「今日はもう帰りなさい、悲しいでしょ」と言われました。
上司もうさぎと犬とハムスターを飼っていて、うさぎは二代目とのことなので、気を使ってくれたようです。お言葉に甘えて帰ってきました。


帰りに、ドライフルーツを買って帰りました。


あの子は家の中ですら限られた場所しか行ったことがなく、外も家の近所と庭だけ。
小さい頃うさぎコミュニティで大きな公園に行きましたが、人見知りすぎてその後参加することはありませんでした。


もっと色んな世界を見せてあげたかった。
もっと色んなものを食べさせてあげたかった。


いつもより美味しいおやつをあげたいと思い、ドライフルーツを買いました。いつもあの子が食べてたパイナップルです。



我が家で動物を飼うのはこれが初めてのことで、いつかこういう日が訪れることは頭の中で理解していたつもりですが、想像以上でした。
それでも、飼わなきゃよかったなんて思いません。

動物を飼ってる人は誰しも必ず通る道で、私の言ってることなんて当たり前のことなのかもしれません。
それでも私には大きなことだったから。
ここに記録します。

7年間ありがとう。

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