変人日記

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物書き志望のヅカオタの雑記帳

地球ゴージャス ゼロトピア 観劇

先日、午後休とって地球ゴージャスゼロトピア観劇してきました。

 


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もちろん柚希礼音ちえさん目当てで行ってます。

そりゃそうよ、ヅカオタだもの。

 

 

宝塚以外のお芝居を見るのはこれで3回目なのですが、この類いのお芝居は私には合わない気がしています。

 

というわけで以下感想。

ネタバレ注意!

 

 

 

ストーリーをざっくり説明すると、

 

豪華客船が沈没し、無人島に打ち上げられたちえさんたち。手元にあるのは島でとれるココナッツと船から流れ着いた食料だけ。脱出する術もなく、島を探索していく中でそれぞれの過去が露になっていく。彼らの過去とはなんなのか?そしてこの島はなんなのか?

 

 

よくある…と言ってしまえばそれまでですが、見ず知らずの人間たちが知らない場所に集められるんだけど、実は彼らには共通点があって…っていうやつです。

 

ストーリーに関してはまたあとで感想を述べるとして、

まずはちえさんから。

 

 

柚希礼音が女性になってる

宝塚退団後、レオンジャックは見に行ったんですけど、お芝居は初めて。

 

まずは、星組ジャイアンであるちえさんが、違和感なく綺麗な女性に変貌されていることへの感動。

 

伸びた髪(ウィッグだけど)もレースのワンピースもとってもお似合いだったし、少し高くなっているものの、昔の聞き馴染みのある伸びやかな歌声も聞けました。

 

ダンスなんかは相変わらず素晴らしくて、他の人が息切れされてる中、一人だけ平然とされていて、流石だなと思いました。(これはそういうお芝居だったかもしれないけど)

 

 

女優さんとして頑張っていらっしゃる中にも、指先の所作など、男役時代の名残が見えてヅカファンとして嬉しい部分もあり…

 

「ちえさんの女優として頑張ってる姿を見る」ためのお芝居としてはとても良かったです。

 

 

 

で、ちえさん以外ですごく良かったのが1つ。

 

藤林美沙さんのタップ

出演者の中に張り付いたような笑顔の女の子がいたんですよ。

 

人の話聞かないで妄想炸裂していて、リアルにいたら絶対に友達になれないタイプ

しかも、ずーっと張り付いたような笑顔。

 声優さんかな?と思うような高くて演技がかった声。

 

なんとなーく気になって見てたんですが、彼女の過去を回想した場面を見て一気に引き込まれました。

 

タップをね踊ってるんですけど、躍りながらの演技にタップの音が加わって、怒りとか焦りとか、どうしたらいいかわかんない行き場のない感情の波がすごい。

 

ストーリー的には「うん?」って思わなくもなかったんですが、とにかく気迫がすごかった。

あれ毎公演やってるの単純にすごいなって驚きます。

 

1幕終わった後、一緒に見た母も「タップの子すごかった」って言ってまして、名前を調べたら藤林美沙さんというらしい。

ウィキペディアが見つからなかったので誰か作ってください。

 

 

 

で、今回一番お話したいのがこれ。

 

ストーリーと脚本

※すごくよかった!って思ってる人は見ないでください

 

 

 

ちえさんの素晴らしさも藤林さんのタップも霞むような壊滅的なストーリー。

 

普段しっかり作り込まれた小説やタカラヅカのお芝居を見てるから余計そう思うのかもしれませんが、ゼロトピアは詰め込みすぎ かつ 方向性が曖昧すぎると思いました。

 

 

そういう面白さは求めてない

面白いんですけど、ストーリーに深みがあって面白いわけではなく、コント的な面白さなんですよね。

その場限りのアドリブ的な面白さというか…

 

例えば、シリアスな場面でセットの大きな岩の上から苦しそうに気持ちを吐露する新田真剣佑くんに対して、岩の下で話を聞きながら「うん、いいけど、上から目線すぎない?」とナチュラルに話す寺脇康文さん。

(物理的に上の位置から話してるから)

 

そして立て続けに

「汗すごい、めっちゃ落ちてくる」

という寺脇さんの台詞。

 

これアドリブじゃないですよね?

普通にシリアスな場面にこのアドリブ入れたら破綻しますもんね?

 

正直、これ毎回やってるのかと思うと引きます。

 

しかも、このコント的な笑いをシリアスな場面だろうがなんだろうが関係なく幾度となく突っ込んでくるのがありえないな、と思いました。

 

コメディにしたいのかシリアスにしたいのか全くわからない。

 

 

どこに着地したいのかわからない

ストーリーの結末はこんな感じなんですけど、ラストにいけばいくほど突っ込みどころが満載すぎる。

 

 

地球は人間がのせい(戦争とか)で壊れかけていて、みんなが流れ着いたこの島はその影響を多分に受け、既に色が失われてしまっている。

そこで、もう人間同士の争いが起きないように、岸谷五郎演じる黒幕が対人間用の兵器を作っていて、兵器のパワー源になる「怒り」を持った人たちを集めた。

怒りの内容は戦争、飢餓、いじめ、恋愛のゴタゴタ、身内の不信死、無理矢理の近親相姦などなど。何の怒りもない寺脇康文は間違えて連れてきちゃったおもちゃ販売店の社長。

過去に負けずに強くなった西川さんに勇気をもらって、気持ちを奮い立たせようとする皆だが、真剣佑の兄を死に追い詰めたのがちえさんだと判明してしまう。しかし、ちえさんに一目惚れをしていた真剣佑。兄の死への怒りよりちえさんへの愛が勝り、岸谷一派との戦闘へ加わる。が、真剣佑を庇ったちえさんは刺され死亡。岸谷一派は敗れ(たのか?)、島に花が咲き、西川さんは歌い、END。

 

大きなテーマは「争いはやめてみんな仲良くしましょう」ってことなんだと思うんですが、「愛」とか「立ち向かう勇気」「環境破壊」みたいなサブテーマらしきものが最後に怒濤のように押し寄せてきて「ちょ、待てよ!」ってなります。

 

 

キャラクターが中途半端

今回、島に流れ着いたキャラクターがちえさん含め8人いるんですけど、ちえさんの過去に焦点をあてすぎて中途半端になってる気がします。(それだけじゃないと思うけど…)

 

まず、西川さんはヒーローポジションなのかと思いきやそうじゃない。

みんなを導くキーマンではあるけど、既に怒りを自分の力で昇華させて前を向いてるから、みんなの過去が見えてるわけですよね?なのに兵器のパワー源である怒りのある人として呼ぶのおかしくない?

 

次に、宮澤佐江/花澤香菜

この二人のは正直Wキャストにするような役ではないのでは?

戦闘シーンで先陣きって服を脱ぎ捨て、「あの辛かった経験があったのはここでみんなを守るためだったのね」とか言ってるけど、鉄バットで父親殴り殺しただけだろっていう。武道の達人かなんかかよ、っていう。

 

で、彼女は父親に襲われてから肌を露出出来なくなったらしくて、戦闘シーンで服を脱ぎ捨てたのはそれに打ち勝ったって意味もあるんだけど、それまで何にも言ってなかったのに戦闘ちょい前に「露出できなくてミニスカート穿けないから…」みたいな台詞が急に出てくるんですよ。確かにみんな上着脱いだりしてたから暑い島なのかなとは思ったけど、それならそれで

「暑いね、上着ぬがないの?」

「ううん、私は大丈夫…」

程度の伏線はいれないとわからんよ。

 

一番謎なのが寺脇康文さん

彼はなんなの?ピエロなの?

面白キャラとして入れてるんだと思うんですけど、島に呼んじゃったのもうっかり間違ったからだし、みんなをなだめて説得させるキーマンかと思いきや、それは西川さんがやってるし。コメディ要員なのはわかるけど、この物語に存在させる理由が薄すぎる。

 

 

 

1回しか見てないからわかりきれてないのかなって気もするけど、普通の人はそんな何回も見ないわけだから、 1回でわかって楽しめるお芝居じゃないとダメだよな、という気もしてる。

 

多分これあてがきだよね。

ストーリーの良し悪しより、役者の良さを伸ばす感じなんだろうな、と思う。

 

タカラヅカみたいにトップコンビと2番手メインにスポットライトを当てればいいってもんじゃないから、難しいとは思うんだけど、もうちょいストーリーとしての面白みにこだわって欲しかったな、というのが正直なところ。

 

 

 

 

…なんて。

偉そうに言ったけど、自分が脚本書いてこれ以上に面白いものが書けるかといったらわからないし。

脚本にして、実際にお芝居にして興行してるんだからすごいよな、と思います。

 

でも2回目はいいかな。