ご案内するのは私の英語力の無さ故です
今日はいつも以上に残業したもんで、気付いたらうちの部署は私を含めて3人しか残ってませんでした。
さっきちょっと怒られたので少し凹みながら帰ります。
ああ、会社辞めたいなあ
そんな風にパンプスをポスポス言わせながら歩いていると、暗い坂道で金髪碧眼の美少女に手を振られました。
(美少女って言っても同い年かちょっと下くらいだろうけど)
近付くと、地図を片手に人懐こい笑顔を向けてくれました。
どうやら目的地への行き方がわからない観光客のようです。
彼女がここ!ここ!と指差す場所にはボールペンで囲まれたnonbeiyokochoの文字
「の、のんべい、よ、よこちょ…呑兵衛横丁か!」
どこだそれ
彼女が持っていた地図は、縮尺が小さくて私もちょっと迷ったけど、なんとか場所がわかったので地図を指差しながら
「えー、マクドナルド」
「OK,McDonald's」
私の日本語英語に真剣に耳を傾けてくれる美少女
(マクドナルドしか言ってないけど)
「Oh!over right?」(多分こんな感じ)
「いや…えー(道路ってなんて言うんだっけ)」
身ぶり手振りで聞いてくれるんだけど、道路が全く出てこなくて
「…かもん」
結局カモン
なんと情けない…
まぁ、彼女も迷わないしいっか、と思いながらご案内
後ろからご夫婦がついてきたので「ファミリー?」と聞くと「Yes!Family!」
家族で日本へ遊びに来たようです。
いいね、いいね
声かけられた場所から目的地までそこそこ距離があったので、せっかくだから何かしら話そうと思ったんだけど、いかんせん英語力がないもので質問出来ず
結局、聞きたいことの中で一番優先度が高く、かつ簡単な英語で大丈夫!な
「Where are you from?」
を勇気を振り絞って口にしました。
「Turkiye」
「とーきー?」
「Istanbul」
「あ、イスタンブール!なるほど!」
何がなるほどだ。
トルコ人のご家族だったようです。
聞きたいことは他にも色々あって、
いつから日本に遊びに来てるのか
お酒好きなのか
日本では他にどこに行ったのかなどなど…
今考えたら簡単な質問だけど
その時は全部頭の中で英文を作ることが出来なくって
信号待ちの時に「ああ!この建物の向こう側なのね!」って英語で言われたけど、曖昧に頷くしかなくって
はぁ、情けないったらありゃしない
結局、呑兵衛横丁までお送りしました。
みんな喜んでくれて、お父さんなんか日本語で「ありがとう」って言ってくれて、仕事で怒られたことなんてすっかり忘れちゃったくらい嬉しかった。
来た道戻って電車に乗ってから気づいたけど、あの子は私の日本語英語に一回も「what's?」って聞き返さなかった
日本語英語も笑わなかったし、悩むことなく一発で返してくれた
聞き返されてたらきっともっとテンパってたんだろうなぁ…
いい子や…
と目を瞑るも…
顔も声も全く思い出せない
どんだけ緊張してたんだ自分
英語、勉強しよう
そんで、今度トルコに遊びに行こう